深部体温と睡眠には密接な関係があります。
深部体温とは、脳や内臓などの温度のことで、脇に挟んで計るような体温とは異なります。 深部体温が上がると日中の活動は活発(ハイパフォーマンス)になりますし、深部体温が下がると眠たくなるという特徴があります。 この体温の変動は、体内時計(サーカディアンリズム)によって制御されています。
深部体温と睡眠の関係
❶入眠前の体温低下
睡眠をスムーズにするために重要な要素のひとつに「深部体温の低下」があります。
体温は日中に最も高くなり、夜になるにつれて下がり始めます。 この体温低下がスムーズに進むことで、脳が「眠る準備が整った」と認識し眠たくなってきます。 雪山で遭難した人が眠たくなるシーンを見たことがあるかも知れませんが、深部体温が下がるために起こる現象です。
❷ 睡眠中の深部体温の維持
睡眠中、特に深い眠り(ノンレム睡眠)では深部体温が最も低く保たれます。
深部体温が適切に下がることで、質の良い睡眠が促進され、体と脳がしっかりと回復します。 睡眠中の体温が適切に下がらない要因としては、朝まで暖房器具をつけっぱなし、ヒートインナーを着て寝る、無呼吸などの睡眠障害によって深い睡眠に入れない、などがあります。
❸目覚め前の体温上昇
目覚めの少し前には、深部体温が再び上昇を始めます。
この上昇に伴い、身体が徐々に活動モードに切り替わり、自然な目覚めが促されます。 深部体温のリズムが乱れていると起きたい時間に適切な深部体温上昇が起こらずに「まだ眠たい」状態になり寝坊を引き起こす要因にもなります。
深部体温調節のためのポイント
❶就寝前の温度調整
お風呂に入ることで、深部体温をあえて上げることでその後の体温下降を促進させます。 睡眠にとって入浴が良いとされる代表的な理由です。 シャワー習慣の方は上がる前に手先足先にシャワーを集中的にかけて温めてから出るようにしてみてください。 手足などの末梢部分の血流が良くなることで深部体温が下がりやすくなります。
❷寝室の温度管理
寝室の温度を適度に涼しく保つことで、深部体温の低下をサポートできます。 季節にもよりますが一般的には冬場18、夏場26度が快適な温度とされています。 暖め過ぎ冷やし過ぎにご注意を。
❸夕方以降の激しい運動は控える
運動によって深部体温が上昇するため、寝る直前に運動をすると入眠が妨げられることがあります。 運動はできれば就寝の2~3時間前までに済ませると良いでしょう。
❹睡眠リズムの安定化
規則的な生活習慣にして睡眠時間のリズムも安定させることで、深部体温のリズムも安定し、自然な入眠と目覚めをサポートします。
まとめ
深部体温がうまく上昇してくれることでハイパフォーマンスに繋がりますし、 深部体温がうまく下降してくれることでハイリカバリーにも繋がります。 そして、深部体温のリズムを安定させるためには体内時計を意識した生活を送る必要があります。 最低でも週4日は決められたリズムを守るように心がけるだけで今までバラバラだったリズムが整いだしますので、 無理なく出来ることから実践していきましょう。